ホルモンバランスを整える方法

女性の身体の不調は「ホルモンバランスの乱れ」が原因となっていることがよくあります。女性ホルモンのバランスが崩れると、頭痛や動悸、不眠症など自律神経失調症のような症状から、肌荒れ、大人ニキビまで、様々なトラブルが生じやすくなります。
ホルモンバランスはなぜ乱れてしまうのでしょうか?その原因と、乱れたホルモンバランスを整える方法についてご説明します。
このページの監修医師

エマ婦人科クリニック名古屋栄
仲川裕子院長
2012年富山大学医学部医学科卒業。市民病院の産婦人科医長経験等を経て、エマ婦人科クリニック名古屋栄を開院。日本産科婦人科学会専門医。
目次
ホルモンバランスとは?

「ホルモンバランス」とは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」、2つの女性ホルモンの分泌バランスを指すことが一般的です。
月経や妊娠、出産に大きな影響を及ぼすエストロゲンとプロゲステロンは、バランスを取りながら女性の体内で分泌されているのです。
女性ホルモン | 特徴 |
---|---|
エストロゲン (卵巣ホルモン) |
女性の乳房や子宮・腟など、丸みある身体を作ってくれる女性ホルモンです。20代で分泌量はピークを迎え、更年期に入ると、急激に分泌量が減ります。 |
プロゲステロン (黄体ホルモン) |
生理が始まって排卵が起こると、分泌量が増える女性ホルモンです。基礎体温を上げ、子宮内膜に受精卵が着床しやすい状態に整えます。妊娠しなかった場合、排卵の約1週間後からプロゲステロンは減り始めます。 |
このエストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されていることを、「ホルモンバランスが整っている」といいます。しかし、ホルモンバランスはとても繊細なもので、ちょっとしたことでも簡単に乱れてしまうのです。
ホルモンバランスが乱れる原因は?
ホルモンバランスが乱れる原因は様々考えられますが、代表的なものは「ストレス」だと考えられています。エストロゲンとプロゲステロンの分泌を司るのは、脳の視床下部や脳下垂体です。脳から「ホルモンを分泌しなさい」という指令を受けると、身体の中で女性ホルモンが分泌されるのです。
ところが視床下部や脳下垂体は、ストレスの影響を受けやすいことがわかっています。ストレスの多い日常を送っていると、それだけで女性ホルモンの分泌に大きな影響を与えるのです。
また睡眠不足や無理なダイエットも、ホルモンバランスを乱す代表的な原因です。睡眠不足が続くと、エストロゲンの分泌は減ってしまいます。またエストロゲンは脂肪組織からも作られているため、急激に体重を減らしてしまうと、エストロゲンの減少だけでなく月経周期そのものも崩れてしまい、ホルモンバランスが乱れるのです。
エマ婦人科クリニック名古屋栄の
診療のご予約はこちらから
ホルモンバランスが乱れると出る症状は?
- 生理不順(無月経・過多月経・過少月経・頻発月経)
- 生理痛(器質性月経困難症・機能性月経困難症)
- 不正出血
- 不妊(排卵障害・黄体機能障害・高プロラクチン血症)
- PMS / 月経前症候群(頭痛・乳房の張りや痛み・手足のむくみ・気分の落ち込み・イラだち・怒りの爆発)
- 自律神経失調症(めまい・動悸・倦怠感・頭痛・不眠)
- 更年期障害
- 肌荒れ / ニキビ
上記以外にも、ホルモンバランスの乱れが原因となる症状は多数あります。ホルモンバランスが崩れると、身体症状だけでなく、気分の落ち込みや不安感、コントロールできない怒りといった精神症状も現れるのです。
ホルモンバランスを整える5つの方法
女性ホルモンの分泌は、様々な理由で増えたり減ったりします。
食事と睡眠、そして心身ストレスがホルモンバランスに大きな影響を与えているため、この3つを意識して改善すると、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。また、低用量ピルやサプリメントでのサポートも、ホルモンバランスを整えるために有効な方法です。
1.ホルモンバランスを整える食べ物と飲み物
ホルモンバランスを整えるには、必要な栄養をバランスよく食べることがとても大切です。一つの食材を食べるのではなく、以下の食品群をまんべんなく、数多くの食材を組み合わせた食事が理想的です。
また食事は適量にしましょう。やせすぎ、太りすぎはホルモンバランスを崩す原因になります。
- 肉・魚(特に青魚)・乳製品・卵
- 大豆食品
- 野菜
- 海藻類
- キノコ類
- イモ類
- ゴマ・ナッツ類
飲み物では、鉄分が豊富な豆乳、カルシウムが豊富な牛乳、ビタミンCの含有量が多い緑茶などがおすすめです。
2.規則正しい生活習慣
朝決まった時間に起きて朝日を浴び、体内時計を整えましょう。休日も、いつもの起床時間から遅くても2時間以内の起床が推奨されています。
またしっかりとした睡眠も欠かせません。ゆったりとお風呂に入ってリラックスする、睡眠前にスマホやパソコンを見ないなど、質の高い睡眠を取れるような生活を心がけましょう。
3.心身ストレスの軽減
ホルモンバランスを整えるうえで特に大切なことは、ストレスフリーな生活を過ごすことです。
適度な運動でリフレッシュしたり、ドラマや映画で笑ったりときめいたり、何も考えずにぼーっとしたりと、自分に合ったストレス解消法を実践するだけで、ホルモンバランスにいい影響を与えることができます。
4.低用量ピルの服用
ホルモンバランスを整えるためには、低用量ピルの服用が有効です。低用量ピルは、エストロゲンとプロゲスチンという2種類のホルモンを含み、人工的に体内のホルモンバランスを整えます。
人工的というと抵抗がある方もいるかもしれませんが、低用量ピルには自然なホルモン変動に近い種類のものも販売されています。
服用によって排卵が抑えされ月経周期が安定し、月経に伴うPMSを和らげる効果が期待できます。また、子宮内膜の厚みが減るため、月経痛や過多月経も改善されます。
避妊薬のイメージがあるピルですが、月経困難症・子宮内膜症治療のために服用するピルには保険が適用されます。適切な診断を受けた上での処方が推奨されるため、まずはクリニックにご相談ください。
エマ婦人科クリニック名古屋栄でも、複数種類の低用量ピルをご用意しています。また、低用量ピルの服用が難しい方へのミレーナのご相談も承っています。
5.ホルモンバランスを整えるサプリ・漢方
ホルモンバランスを整える効果が期待できるサプリメントとしては、主に以下の栄養素を含んだものが市販されています。
- ・大豆イソフラボン
- ・エクオール
- ・ビタミンB群 / ビタミンE群
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が似ていて、「植物性エストロゲン」とも呼ばれる成分です。エクオールは、大豆イソフラボンを摂取すると体内で作られる成分です。いずれも、ホルモンバランスを整える効果が期待できるとされています。
また漢方薬でホルモンバランスを整える方法もあります。「加味逍遥散」(かみしょうようさん)や「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)など、様々な漢方薬が市販されています。
ホルモンバランスの乱れは婦人科に相談を
ホルモンバランスの乱れは、ある程度はセルフケアで改善することができます。しかし、忙しい学生や社会人にとって、バランスのいい食事や質の高い睡眠を毎日続けることはなかなか難しいのではないでしょうか?
「セルフケアだけでは、ホルモンバランスを改善できない」とお悩みの方は、一度婦人科に相談してみましょう。
婦人科では、更年期障害や月経不順、月経前不快気分障害(PMDD)など、ホルモンバランスの乱れが原因となる諸症状の治療が可能です。
エマ婦人科クリニック名古屋栄でも、月経をはじめとするホルモンバランスのお悩みにお応えしております。お気軽に当院までご相談ください。
ホルモンバランスのよくある質問
- Q ホルモンバランスを整えるためにピルを服用しても問題ありませんか?
-
A. はい。問題ありません。当院でもホルモンバランスを含めた体調改善のため、低用量ピル等その方に合った最適な対処法・治療法をご提案しています。
- Q 生理前に気分が酷く落ち込むことがありますが、これはホルモンバランスが乱れているのですか?
-
A. 生理前に身体やメンタルに変調をきたす場合、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。月経前症候群(PMS)、あるいはPMDD(月経前不快気分障害)であることも考えられるため、一度婦人科にご相談ください。
- Q ホルモンバランスが乱れると太るって本当ですか?
-
A. ホルモンバランスが乱れると、過食や手足のむくみといった症状が出ることがあります。黄体ホルモンやアンドロゲン等が影響している可能性があります。
INFORMATION
- 2025/01/28
- 臨時代診男性医師診療日
2月:2(日)、9(日)、16(日)、23(日)、24(月)
3月:2(日)、9(日)、16(日)、18(火)、19(水)、30(日)
臨時“院長”診療日3/23(日)
★3/23(日)は院長の診察となります
★2/12(水)院長講習会参加のため、13:00~16:30は診療時間外となります。(9:30~13:00、16:30~18:00までは診療を行っております) - 2024/12/10
- 手術当日のお迎えにご利用可能な「駐車場サービス券」の配布を開始しました。
- 2023/01/05
- 名古屋市の「子宮頸がん検診推進事業」対象医療機関になりました。