流産について miscarriage

妊娠初期の流産しやすい行動とは?流産兆候や確率まで医師が解説

妊娠初期(12週未満)に流産しやすい行動とは?

妊娠時、不安になるのが流産です。特に妊娠初期は流産が多いと、耳にすることが多いかもしれません。どんな行動が流産につながるのか、さまざまな情報を見聞きするケースが多く、妊婦さんは不安を募らせるのではないでしょうか?

そこでここでは、妊娠初期と妊娠後期の流産しやすい行動についてまとめて解説します。流産を誘発しそうなNG行動から、流産の確率、兆候などをくわしく見ていくので、ぜひ参考になさってください。

このページの監修医師

エマ婦人科クリニック名古屋栄:仲川裕子院長の写真(女医)

エマ婦人科クリニック名古屋栄 
仲川裕子院長

2012年富山大学医学部医学科卒業。市民病院の産婦人科医長経験等を経て、エマ婦人科クリニック名古屋栄を開院。日本産科婦人科学会専門医。

目次

妊娠初期の流産しやすい行動とは?

妊娠初期の流産(時期・種類・原因)

SNSなどで「妊娠12週の壁」という言葉を聞くことがありますが、 妊娠11週6日まで(12週未満)の妊娠初期は特に流産が起こりやすい時期で、そのほとんどが胎児の染色体異常が原因です。そのため、妊婦さんの行動にはあまり左右されないと考えられています。つまり、妊娠初期の流産を阻止するのは、非常に難しいということです。

また、この時期はまだ胎盤が発達しておらず、母体の影響が胎児に伝わりにくいとされていますが、妊娠が発覚したら、内服薬に注意するとともに、喫煙・アルコール摂取は避けるようにしてください。

妊娠後期の流産しやすい行動8つ

しかし、妊娠後期になると、お腹の中の赤ちゃんは妊婦さんのさまざまな行動に影響を受けます。妊娠後期は、妊娠28週以降です。この頃になると、お腹も大きくなってきて、日常の行動一つをとっても多くの制約があるでしょう。日常生活では、パートナーにやってもらう、他の人を頼るなどして、危険な行動を回避するのが無難です。ここからは、妊娠後期に気をつけたい、流産につながる行動を8つ見ていきましょう。

1.重いものを持つ

重いものを持つという行為は、身体全体の筋肉に力をいれます。腹筋も例外ではなく、お腹に大きな力が加わるのです。すると、子宮が圧迫され、子宮収縮が誘発されます。子宮が収縮すると、お腹に張りを感じたり、出血が起こったりして、早産や流産のリスクが高まります。

ですが、妊娠初期の妊婦さんの場合、子宮がそこまで大きくなっていないため、重いものを持つ行為が即流産につながるというわけではありません。

2.偏った食生活

妊娠しているときは、お食事の内容にも注意が必要です。偏った食生活をしていると、栄養が不足したり、その逆に栄養過多になったりして、赤ちゃんに悪影響を及ぼします。胎児に悪影響なだけでなく、母体に掛かる負担も大きくなってしまうのです。

特に、妊娠後期の栄養過多は、母体の体重増加に直結し、肥満に陥る可能性があります。母体の肥満も、流産・早産のリスクを高めるため注意が必要です。

3.喫煙

妊娠中の喫煙は、胎盤への血流量を低下させ、胎児に大きな悪影響を及ぼします。流産・早産のリスクを高めるだけでなく、胎児奇形、低出生体重児、胎児死亡、新生児死亡など、数多くのトラブルを引き起こしかねません。妊娠中の喫煙だけでなく、妊娠を考え始めたら禁煙することが推奨されています。

4.アルコールの摂取

妊娠中にアルコールを摂取すると、胎盤を通じて胎児にアルコールの成分が届きます。届いたアルコール成分を代謝するのは、赤ちゃんの肝臓です。小さく未熟な胎児の肝臓ではうまく代謝できず、胎児性アルコール症候群や胎児性アルコール・スペクトラム障害、奇形などの先天性異常といった、さまざまな悪影響を及ぼします。

また、妊娠中期(16~27週)から妊娠後期(28週~)の飲酒は、流産・早産のリスクを高めてしまうため、妊娠が分かったら禁酒を守りましょう。

5.コンドームをしない性行為

俗に安定期といわれる16週以降になると、性行為を再開する方もいらっしゃいます。無理をしない体位を心がけていても、避妊の心配がないため、コンドームを使用しない方が多いです。しかし、妊娠中の細菌感染を防ぐために、性行為の際は必ずコンドームを着用することが推奨されます。

細菌感染によって起こる「絨毛膜羊膜炎」は、流産リスクを高める可能性がありますし、その他の感染症を防ぐためにも、コンドームの装着・外性器(デリケートゾーン)の清潔は徹底しましょう。

6.過度な運動

妊娠後期の妊婦さんはお腹が大きくなり、動きづらくなるため、運動不足になりがちです。そうかといって、過度な運動は、転倒リスクが高まって危険なだけでなく、母体に大きな負担をかけます。特に、激しく身体が接触するスポーツや、無呼吸状態になりやすい運動はNGです。

妊娠後期に運動をするのであれば、ゆったりとした気持ちの良いストレッチや、ほどほどな速度にセーブしたウォーキングなど、無理のないものがいいでしょう。

7.無理な姿勢

妊娠後期は腰痛や下半身の筋肉痛が出現しやすい時期です。これらの痛みを予防するためにも、姿勢に注意しましょう。同じ姿勢や長時間の立ち仕事もNG行為。立ちっぱなしの立位は、お腹の張りを促し、流産につながる可能性があります。

また、前かがみになる前屈位もお腹を圧迫してしまうため、避けた方が無難です。寝るときは、シムス位(左側臥位)で寝ると、お腹を圧迫せず、腰に負担をかけにくくなります。

8.熱いお風呂で長時間の入浴

熱いお湯に長時間浸かるのもNG行為です。脳貧血や立ちくらみを起こしやすく、転倒リスクが高まります。妊娠後期の転倒は、非常に危険とされ、思わぬケガや流産につながる可能性が否定できません。入浴をする際は、ぬるめのお湯にゆったり浸かり、長湯は避けましょう。

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妊娠初期の流産確率

流産・死産した時期(妊娠週数別)

流産の確率について、日本産科婦人科学会は以下のように述べています。

医療機関で確認された妊娠の15%前後が流産になります。また、妊娠した女性の約40%が流産しているとの報告もあり、多くの女性が経験する疾患です。妊娠12週未満の早い時期での流産が8割以上でありほとんどを占めます。 引用元:日本産科婦人科学会‖流産・切迫流産

また、厚生労働省によると、流産の妊娠週数の内訳は表の通りで、妊娠初期がもっとも多くなっていることがわかります。

妊娠初期の流産は気づかない?

妊娠初期の流産は気づかない、気づけない方が多くなっています。妊婦検診でエコーをして、初めて気づくケースがあるほどです。妊娠初期の流産は、胎児側の原因(染色体異常など)がほとんどであり、母体に異常がないことが気づきづらい、気づけない大きな要因となっています。

なぜ、今回の妊娠が流産となってしまったのか、その原因を突き止めるための検査をする医療機関もあります。流産の原因を把握したい方は、検査を行っている医療機関を受診し、次の妊娠に備えると良いでしょう。

妊娠初期の流産の兆候

流産の兆候として挙げられる症状は、少量の性器からの出血と子宮収縮によって起こる腹痛です。流産が起こり始めると、鮮血もしくは暗赤色の少量の性器出血を認めます。さらに、子宮が収縮するため、腹痛が起こります。

妊娠初期にこれらの兆候を認め、すぐに医療機関を受診しても、間に合わない可能性が高いです。つまり、胎児が無事に助かる見込みはほとんどありません。

妊娠初期に流産したら…

妊娠初期の流産は、赤ちゃんになんらかの問題があることがほとんどであり、これは変えられない、抗えない運命であるといえるでしょう。医療が発達した現代でも、運命は変えられません。非常に悲しいことですが、妊婦さんご本人を含め、周りの方たちも受け入れるより他はないのです。

「もっと安静にしていれば、助かったかもしれない」「あの時の行動をやめておけば……」とご自分を責めてしまう妊婦さんが多くいらっしゃいます。しかし、ご自分を責めるのは止めてください。もし、妊娠初期に流産という悲しい結果になったとしても、絶対にご自分を責めてはいけません。次の機会を見据え、前向きに日々を過ごすことが大切です。

INFORMATION

2024/12/03
12/24(火)は臨時休診日となります。
12/8(日)・15日(日)は代診の男性医師、16日(月)は代診女性医師の診察となります。
2023/01/05
名古屋市の「子宮頸がん検診推進事業」対象医療機関になりました。