子宮頸がんとHPV cervical cancer

「子宮頸がんは性行為のやりすぎでなる」は本当?

子宮頸がんを発症する人は、「性行為のやりすぎ」によるものという噂が流れています。
ここでは、この噂の真偽とともに、原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)について、くわしく解説します。

このページの監修医師

エマ婦人科クリニック名古屋栄:仲川裕子院長の写真(女医)

エマ婦人科クリニック名古屋栄 
仲川裕子院長

2012年富山大学医学部医学科卒業。市民病院の産婦人科医長経験等を経て、エマ婦人科クリニック名古屋栄を開院。日本産科婦人科学会専門医。

目次

子宮頸がん「性行為のやりすぎでなる」は本当か?

子宮頸がん「性行為のやりすぎでなる」は本当か?

性行為のやりすぎは、子宮頸がんを発症するリスクを高める可能性があります。
性行為の回数やパートナーの人数が多いと、HPVの感染機会も増えるからです。
また、HPV感染を持続させる原因の一つとなり、子宮頸がん発症のリスクを高めてしまいます。

しかし、性行為を多く経験しているから、子宮頸がんになるリスクが高いとは、一概にいえません。
不特定多数の相手と性交渉をしているなど、“HPV感染リスクが高い性行為”をしているか否かが、非常に大切なのです。

性交渉の頻度よりも、HPV16型・HPV18型など、ハイリスクなタイプのHPVに感染しているかどうかが重要であり、性交渉の回数や経験が少なくても、ハイリスクタイプのHPVに感染すると、がんの前段階である異形成に進む可能性が高くなります。

子宮頸がんの70%以上は扁平上皮がんですが、20%程度が腺がんです。
まれなケースですが、腺がんの中には、HPVが検出されずHPV感染以外の原因が疑われるものも報告されています。
このことから、性交経験がない方が子宮頸がんを発症しないとは言い切れません。
つまり、子宮頸がんは性活動が活発でなければ発症しないわけではないということを、知っておくことが大切です。

子宮頸がんは旦那とだけの性行為でもなるのか?

性行為の相手が、旦那さんだけ、もしくはある特定のパートナーだけでも、子宮頸がんになる可能性があります。
例え、1人とだけの性生活であっても、そのパートナーがHPVに感染していた場合、性行為を繰り返しすることで、HPV感染を持続させる原因の1つとなるからです。
長期にわたるHPV感染は、子宮頸がん発症のリスクを高めることがわかっているため、「一人とだけなら大丈夫」と安心せず、定期的な子宮頸がん検査、HPV検査を受けることを強くおすすめします。

ヒトパピローマウイルス(HPV)について

HPVに感染した場合の細胞の図

ヒトパピローマウイルス=HPVは、ヒトの皮膚に感染するタイプのものと、粘膜に感染するタイプのもので200種類以上もの型が発見されています。
HPVの全てが子宮頸がんの原因となるわけではなく、一部の型が該当します。
がん化する可能性が高いものを高リスク型HPV、がん化する可能性が低いものを低リスク型HPVとそれぞれ分類しているのです。
高リスク型HPVは、16、18、31、33、35、52、58などが挙げられます。

HPVに感染してもほとんどのケースが、自然治癒します。
つまり、一過性の感染であり、身体に備わっている免疫力で、ウイルスは自然に排除されるのです。
では、どういうケースが子宮頸がんになるのかというと、高リスク型HPVが長い期間に渡って、持続感染することによって発症します。
しかし、高リスク型HPVに持続感染しても、全ての方ががん化するわけではありません。

HPVの感染経路

HPVの感染経路は、性行為です。トイレや浴槽などの共有で感染することはなく、性的な接触によって感染します。
他の性感染症がコンドームの装着によってある程度防げるのに対し、HPVはコンドームだけでは効果的な予防ができません。
外性器肛門周辺など、コンドームではカバーできない部分にもHPVが存在するからです。

HPV感染から軽度異形成までの期間

HPV感染から数年以内に、子宮頸部に軽度異形成の病変が生じる可能性があります。
しかし、こういった病変が全てがんに進行するわけではなく、治癒したり、ウイルスが自然に排除されたりすることも多いです。

HPV検査について

HPV検査とは、子宮頸部の細胞を採取して、HPVへの感染の有無が分かる検査です。
この検査で感染が分かるHPVは、ハイリスク型HPVのみとなっています。

HPV検査のやり方

HPV検査のやり方は、子宮頸がん検診と同様に、子宮頸部細胞診(子宮頸部スメア)で行います。
ブラシや綿棒のような検査器具を膣から挿入し、子宮頸部を優しくこすり、ごく少量の細胞を採取する方法です。
内診台に上がって、お受けいただく検査ですが、痛みを伴うことはほとんどありません。検査のあと、ごく少量の出血が見られることがあります。

エマ婦人科クリニック名古屋栄はHPV遺伝子検査ができる医療機関

エマ婦人科クリニック名古屋栄は、HPV遺伝子検査を承っております。子宮頸がん検診と同時に受けられるので、内診台に上がるのも一度で済みますし、度々ご来院いただく手間も省けます。

HPV検査の検査費用

エマ婦人科クリニック名古屋栄のHPV検査の費用は、下記です。

HPV遺伝子検査 8,800円(税込)
HPV遺伝子検査
セルフチェックキット
8,800円
他診療と同時購入で5,500円
子宮頸がん+HPV遺伝子検査
※診察料込み
13,000円

HPV検査が陽性だったら?

HPV検査が陽性だった場合、高リスク型HPVに感染していることになります。
そのため、子宮頸がんを発症するリスクがあるということです。12カ月ごとに子宮頸部細胞診を受け、異形成細胞が生じないか確認していく必要があります。
また、医師の判断でコルポスコピー検査(子宮頸部拡大鏡検査)が必要になるケースもあります。
HPVは、身体に備わる免疫力によって、自然に排除されるケースが多いです。HPV陽性の結果が出ても、再検査をすると陰性になる可能性もあります。
また、一度、陰性反応が出たとしても、次に検査を受けたときは陽性になる可能性も否定できません。
そのため、HPV検査も子宮頸部細胞診と同様に、12カ月ごとの定期検診をおすすめします。
HPV検査は、一度だけでなく繰り返し受けると、子宮頸がん予防の面で効果的です。

子宮頸がんを予防するには

子宮頸がんの予防方法は、HPVワクチンの予防接種で、HPV感染を防ぐ効果があります。
さらに、定期的な子宮頸がん検診が非常に重要です。
子宮頸がん検診で、がんに進行する可能性のある異形成や、早期のがん病変が発見できます。

当院の子宮頸がん検診

エマ婦人科クリニック名古屋栄では、子宮頸がん検査を承っております。
子宮頸部の細胞診の他、経膣超音波検査、子宮体がん検査などに対応可能です。

名古屋市の子宮頸がん検診の無料クーポン券も使用できますので、ご検討中の方は、お気軽に当院にご相談ください。

当院の子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)

エマ婦人科クリニック名古屋栄は、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の予防接種ができる医療機関です。
4種のHPV型に対応できるガーダシル(HPVワクチン4価)と9種のHPV型に対応できるシルガード9があります。
患者様のご希望に合わせてお選びいただけますので、ご相談ください。

QandA

HPV検査に関するよくあるご質問

Q HPV検査のやり方は、どんなイメージですか?

A.  当院のHPV遺伝子検査のやり方は、内診台に上がっていただき行います。
検査用の綿棒のような器具で子宮頸部を優しくこすって、子宮頸部の細胞を採取します。
これは、子宮頸がん検診の細胞診と同じやり方なので、HPV遺伝子検査と子宮頸がん検診を同時にお受けいただくと、一度の検査で済むということです。
そのため、子宮頸がん検診をお受けになるタイミングでHPV遺伝子検査を受けられることをおすすめします。

Q HPV検査で陽性だったら、すぐに子宮頸がんになりますか?

A.  いいえ、すぐにがんになることはありません。
また、高リスク型HPVが陽性だったからといって、必ずがんになるわけでもありません。
高リスク型HPVの感染が認められたら、毎年の子宮頸がん検診を欠かさず、しっかりフォローしてください。
HPVは、自然と排除される可能性もあるため、定期の子宮頸がん検診と同時にHPV遺伝子検査をして、感染状況を確認するといいでしょう。

Q HPV遺伝子検査で陽性でした。性生活に影響はありますか?

A.  HPV感染そのものは、ごくありふれたことです。
多くの女性が一生に一度は、HPVに感染するといわれています。
そのため、あまり過敏になり過ぎる必要はありません。
しかし、HPVの陽性が確認された場合には、しばらく期間をあけて再検査をし、HPVが感染したままなのか、ウイルスが排除され陰性になったのか、定期的に確かめていく必要があります。
12カ月ごとのHPV遺伝子検査と子宮頸部細胞診の定期検査を受けるようにしましょう。

INFORMATION

2024/03/18
4/2(火)は臨時休診日です。
※4月以降の診療時間は9:30~18:30(最終受付18:00)に変更となります。
2023/10/05
名古屋市の子どものインフルエンザ予防接種費用の助成事業指定医療機関になりました。くわしくはこちらをご覧ください。
2023/01/05
名古屋市の「子宮頸がん検診推進事業」対象医療機関になりました。