月経困難症 dysmenorrhea

月経困難症の症状・セルフチェック方法・薬(ピル)について

月経困難症とは

月経困難症の症状

月経困難症とは、月経(生理)期間中に起こる、痛みや吐き気、だるさなどの症状を指します。月経に関連する症状は、その程度に関わらず多くの女性が経験しますが、日常生活に支障が出る場合は、月経困難症となり治療の対象になります。

月経困難症をそのままにしていると、子宮内膜症などの病気を発症するリスクがあるため、早期の治療が必要です。

月経困難症の治療は保険適用になる場合があります

月経困難症に有効とされている低用量ピルやミレーナは、治療を目的としているため保険が適用となるケースがあります(避妊目的の場合は自費です)。どちらも当院で取り扱いがあるため、治療をご検討中の方や、治療費用でお悩みの方は、お気軽にエマ婦人科クリニック名古屋栄にご相談ください。

このページの監修医師

エマ婦人科クリニック名古屋栄:仲川裕子院長の写真(女医)

エマ婦人科クリニック名古屋栄 
仲川裕子院長

2012年富山大学医学部医学科卒業。市民病院の産婦人科医長経験等を経て、エマ婦人科クリニック名古屋栄を開院。日本産科婦人科学会専門医。

目次

この症状は月経困難症?8項目セルフチェック

  • 生理痛などが原因で起き上がれない
  • 生理痛で仕事や学校を休むことがある
  • 生理期間以外に不正出血がある
  • 排尿時や性交時に子宮・下腹部が痛む
  • 以前より生理痛やその他症状がひどい
  • 生理中は鎮痛剤が手放せない
  • 鎮痛剤を飲んでも生理痛が治まらない
  • 生理中に発熱、下痢、嘔吐がある

このチェック項目で当てはまるものが多い場合は、月経困難症の可能性が考えられます。早めにクリニックを受診しましょう。

月経困難症の症状

月経困難症は、痛みのほかにもさまざま症状が起こる場合があります。

1.腹痛・腰痛

生理中は、子宮を収縮させて経血を身体の外に出す「プロスタグランジン」というホルモンが分泌されます。このホルモンは、痛みのもととなる物質のため、分泌が多いと子宮周り(腹部、下腹部、腰)に痛みを引き起こします。

また、プロスタグランジンの分泌量が正常でも、経血排出の通り道となる子宮頸管が細いと、月経の際に下腹部痛を感じます。こちらは初経を迎えたばかりの10代から、出産経験のない若い女性に多い原因です。

2.吐き気

吐き気は、腹痛・腰痛に次いで多い症状です。こちらも痛みのもととなるプロスタグランジンの分泌が原因とされています。子宮の収縮によって、経血をスムーズに排出する役割を担うプロスタグランジンですが、分泌時に子宮だけでなく胃や腸管も収縮させるため、胃のムカつきや腹部の張りを引き起こします。

3.頭痛

月経時の頭痛の原因は、女性ホルモンの変化が関係していると考えられます。月経前~月経時にかけて、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が低下します。エストロゲンの減少に伴い、セロトニンと呼ばれる血管収縮をコントロールしたり、痛みを抑えたりする働きを持つ物質も減ります。そのため痛みに過敏な状態になり、頭痛が起こりやすくなります。

4.だるさ・疲労感

月経開始にむけて、女性ホルモンの分泌量が大きく変動しますが、この変化が自律神経の乱れにつながり、だるさや疲労感を引き起こします。人によっては、貧血もだるさの一因になっている可能性があります。

月経困難症の原因

月経困難症には、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2種類があります。2つの違いは、原因となる疾患(子宮の形態異常など)の有無です。原因疾患のないものを機能性月経困難症、原因疾患があるものは器質性月経困難症と定義されています。

機能性月経困難症と器質性月経困難症の違い

機能性月経困難症 器質性月経困難症
原因
  • ・痛みの原因となる物質「プロスタグランジン」の過剰分泌
  • ・子宮頸管が狭い
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮奇形、内膜ポリープなどの疾患
発症時期 10代後半~20代前半に多い 20代後半~30歳以降に多い
痛み 月経初日~2日目頃の出血が多い期間 月経期間中
治療法
  • 鎮痛剤の服用
  • 低用量ピルの服用
  • ミレーナの装着 など
  • 低用量ピルの服用
  • ミレーナの装着
  • 手術での原因疾患の治療 など

機能性月経困難症

原因
  • ・痛みの原因となる物質「プロスタグランジン」の過剰分泌
  • ・子宮頸管が狭い
発症時期 10代後半~20代前半に多い
痛み 月経初日~2日目頃の出血が多い期間
治療法
  • 鎮痛剤の服用
  • 低用量ピルの服用
  • ミレーナの装着 など

器質性月経困難症

原因 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮奇形、内膜ポリープなどの疾患
発症時期 20代後半~30歳以降に多い
痛み 月経期間中
治療法
  • 低用量ピルの服用
  • ミレーナの装着
  • 手術での原因疾患の治療 など

発症時期はあくまで目安です。該当年齢でなくとも発症の可能性はあるため、月経時に強い痛みや違和感がある方は、早めにクリニックを受診してください。

月経困難症は、婦人科の病気のサイン?

器質性月経困難症の原因疾患には、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)などの婦人科系疾患が挙げられます。下記では、それぞれの病気について解説します。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜やそれに似た組織が、子宮の内側以外の場所(腹膜、卵巣、卵管など)で増殖する病気です。初経を迎えた女性の10人に1人の割合で発症するといわれており、症状が軽度であればピルやミレーナを用いた治療が有効です。痛みが非常に強い場合や、早期に妊娠を希望する場合は、手術が必要になる場合もあります。治療を自己判断で中断すると、再発する可能性があるため、継続治療と定期的な検診が大切です。

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮壁にできるこぶのような腫瘍(しゅよう)で、良性であることがほとんどです。閉経すると縮小するため、女性ホルモンが影響していると考えられています。症状として貧血、腰痛、月経痛、月経異常を引き起こす一方で、こういった症状が全くないまま筋腫が大きくなることもあります。治療法には外科治療(手術)と薬物療法がありますが、腫瘍のできた場所、症状、大きさ、年齢などによってはすぐに治療せず、経過観察にとどまるケースもあります。

子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)

子宮腺筋症は、子宮の筋層内に子宮内膜に類似した組織ができる疾患です。子宮内膜症も、子宮内膜に似た組織が正常な場所以外にできる病気ですが、子宮腺筋症は子宮筋の中にできた場合のみを指します。閉経すると自然に治癒しますが、閉経以外で子宮腺筋症が治癒することはないため、だんだんと強くなる月経痛や経血の増加を感じたら、クリニックを受診しましょう。

月経困難症の診断方法

月経困難症の診断方法1
ご予約

エマ婦人科クリニック名古屋栄は、原則予約制となっております。24時間WEB予約またはお電話にてご予約をお取りください。

月経困難症の診断方法2
受付・ご来院

問診票に必要事項をご記入いただきます。

月経困難症の診断方法3
診察

医師による診察を行います。診察に伴い、以下のことを確認させていただくことがあります。

  • 月経時の痛みの程度、どの程度、日常生活に支障をきたしているか
  • 直近で生理があった日にち
  • 生理周期や生理の日数
  • 性体験の有無
  • 治療中の病気について
  • 身長、体重、アレルギーの有無など

症状によって内診をする場合がございます。性交経験のない方や、内診にご不安がある方はお申し出ください。

月経困難症の診断方法4
超音波検査・血液検査

必要に応じて超音波検査や血液検査を行います。

月経困難症の診断方法5
お会計・お薬の処方

受付にてお会計後に、お薬の処方を行います。

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月経困難症の治療薬

月経困難症の治療には、ピルやミレーナが有効です。どちらも当院で取り扱いがありますので、お気軽にご相談ください。

ピル

月経困難症の治療薬①ピル

飲み薬であるピルは、配合経口避妊薬とも呼ばれているため、避妊のイメージが強いのですが、月経に関連するトラブルの改善にも効果がある治療薬です。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが含まれており、服用することで女性ホルモンのバランスを整え、子宮内膜増殖の抑制、排卵の抑制が期待できます。

ミレーナ(避妊リング)

月経困難症の治療薬②ミレーナ(避妊リング)

ミレーナ(避妊リング)は、子宮内に装着するT字型の薬剤徐放システムです。黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を子宮内に持続的に放出することで、子宮内膜に作用して月経困難症の改善を促します。ピルが副作用で合わなかった方や、体質、喫煙習慣によってピルを服用できない方も装着可能です。一度装着し、定期的な受診を行えば、最長5年間効果が持続するのも大きなメリットとして挙げられます。

月経困難症とPMSの違い

月経前症候群(PMS)は、月経前に現れる体調やメンタルの不調を指しますが、月経困難症は月経に伴って起こる病的症状です。

PMSは月経が始まると症状が軽減・消失しますが、月経困難症は月経中に症状が現れるため、PMSと月経困難症を両方患っている方は、辛い時期が継続的に続いてしまいます。

治療薬であるピルやミレーナは、女性ホルモンに作用するため、正しく服用すればPMSと月経困難症どちらの改善も期待できます。PMSや月経困難症でお困りの方は、エマ婦人科クリニック名古屋栄にご相談ください。

QandA

よくあるご質問

Q 月経困難症と診断されました。将来妊娠できるか心配です。

A. 月経困難症と診断されても、早期から正しい治療を行っていれば、妊娠に影響を与えることはありません。しかし「まだ若いから」「痛み止めでなんとか我慢できるから」と受診を先延ばしにしていると、さらに症状が強まった際に治療が遅れ、不妊のリスクが高まる可能性があります。ご不安がある方は、お気軽にエマ婦人科クリニック名古屋栄にご相談ください。

Q 生理不順も月経困難症の1つですか?

A. 月経不順(生理不順)は月経困難症ではありません。生理不順は生理の周期に乱れがある状態を指し、月経困難症は月経の期間中に起こる様々な症状を指します。エマ婦人科クリニック名古屋栄は、月経不順についてのお悩みもご相談いただけます。ご不安がある方は、医師にご相談ください。

Q ピル以外に月経困難症の治療薬はありますか?

A. ピル以外の月経困難症の治療薬には、子宮に装着して子宮内膜を薄い状態のまま維持するミレーナがあります。一度装着し、正しい位置で作用すれば、最長5年間効果が持続します。「毎日のピルの服用は面倒」「体質の問題でピルを服用できない」といった方も使うことができます。当院ではミレーナの取り扱いもあるため、ご検討中の方はお気軽にご相談ください。

Q 月経困難症はストレスでもなりますか?

A. 月経困難症の原因の一つとして、女性ホルモンの分泌量変化が挙げられます。過度な身体的・精神的なストレスは、女性ホルモンの分泌に影響を与え、月経困難症を引き起こす可能性があります。月経困難症は放置すると思わぬ病気や不妊につながることもあるため、早めにクリニックを受診しましょう。

INFORMATION

2024/11/05
11/10(日)・12/8(日)・15日(日)は代診の男性医師の診察となります。
11/29(金)・30(土)は臨時休診となります。
2023/01/05
名古屋市の「子宮頸がん検診推進事業」対象医療機関になりました。