中絶後遺症のリスク experience

一度中絶すると後遺症が残る?中絶跡は分かる?

一度中絶すると中絶後遺症のリスクは?

中絶跡は分かるのか?不安な方へ

中絶手術をした後、気になるのが後遺症のことかもしれません。「もし、後遺症が残ったら……」と不安に思う方も多いです。本当に、一度中絶をすると後遺症が残るのでしょうか?

ここでは、中絶後遺症についてくわしく解説していきます。

このページの監修医師

エマ婦人科クリニック名古屋栄:仲川裕子院長の写真(女医)

エマ婦人科クリニック名古屋栄 
仲川裕子院長

2012年富山大学医学部医学科卒業。市民病院の産婦人科医長経験等を経て、エマ婦人科クリニック名古屋栄を開院。日本産科婦人科学会専門医。

目次

中絶後遺症は精神的なトラウマ(PTSD)

中絶の後遺症として起こる中絶後遺症候群(PAS)は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種と考えられています。これは、中絶手術に関わるストレスや感情を抑圧してしまうことが原因です。主に精神や行動面にさまざまな影響が現れます。

中絶後遺症を我慢したり、放置したりすると、精神疾患を発症するリスクが非常に高まるので、注意が必要です。思い当たる症状が少しでもある場合は、婦人科、心療内科などを受診しましょう。

中絶後遺症(PAS)の主な症状
過剰反応
  • イライラしやすくなる
  • いつになく孤独を感じる
  • 眠れない/眠りが浅い
  • 過剰に警戒心が働いてしまう
侵害行為
  • 悪夢を見やすくなる
  • うつ状態になっている
  • (中絶に関わる事象が)フラッシュバックする
抑圧
  • 中絶に関わる思いや感情を否定する
  • 中絶に関わった人たちを避ける
  • 中絶を思い出す場所に行くのを避ける
  • 子どもや赤ちゃんを避ける
  • 自殺企図や自殺願望をもつ

極まれに起こる後遺症:アッシャーマン症候群

アッシャーマン症候群とは、子宮内膜がなんらかの原因で炎症を起こし、子宮内宮が癒着している状態です。子宮内腔癒着とも呼びます。分娩時に行う処置や帝王切開、中絶手術といった子宮に関わる手術や、子宮に起こった感染などが主な原因です。

アッシャーマン症候群になると子宮内膜が正常に増殖できないため、不妊や流産の原因になります。しかし、中絶手術後にアッシャーマン症候群になる確率は、極めてまれなため、過度な心配は不要です。

中絶後は、妊娠しにくい?

「一度中絶手術をすると、その後妊娠しにくいのでは……」と不安に思う方がとても多いです。実際、中絶後は妊娠しにくいのでしょうか?ここからは、中絶後の不妊リスクにフォーカスして見ていきましょう。

一度中絶すると不妊症になる?不妊リスクは?

「一度中絶を経験すると不妊症になるのか?」この問いへの答えは、「NO」です。もちろん手術なので、リスクがゼロなわけではありませんが、不妊症になるリスクは極めてまれといえるでしょう。むしろ、不妊リスクやその他の合併症を不安に思って気に病んだり、中絶そのものを否定する考えを強く持っていたりすると、中絶後遺症(PAS)を引き起こす可能性のほうが高まります。

前述したとおり、不妊症を引き起こすアッシャーマン症候群は極めてまれに起こる状態です。極度に不安に思ったり、心配したりせずに、中絶後は心穏やかに過ごし、身体と心を休めてあげましょう。

中絶後妊娠しやすい理由とは?

中絶手術後は、不妊になると心配する方がいる一方で、中絶後すぐに次の妊娠をしてしまう方がいます。実は、中絶後は、妊娠しやすい状態なのです。それはなぜでしょうか?

まず、月経周期が不安定であることが多く、術後に性交渉が可能となり、セックスを再開しだす時期と排卵時期がちょうど重なる可能性が高いことが挙げられます。中絶手術後2週間を過ぎた頃が、ちょうどこの時期になるのです。

さらにこの頃には、子宮内膜が回復してきており、妊娠することが可能な子宮環境ができあがります。こうした状況下で無防備な性交渉をすると、再度妊娠してしまう可能性が高まります。

中絶後すぐ妊娠しないために

中絶手術後すぐに次の妊娠をしないためにも、正しい避妊方法を実践することが大切です。それも、中絶後すぐに、避妊法を実践しなければなりません。そのために、避妊成功率が高く、より確実な方法を知っておく必要があります。以下のページには、正しい避妊方法が避妊成功率とともに説明してあるので、避妊法に不安がある方、避妊についてもっと知りたい方は、ぜひご参照ください。

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中絶跡は分かるのか?不安な方へ

中絶後に身体や気持ちが落ち着いてくると、ふと気になるのが、中絶経験が他人に知られてしまうのではないかという不安。「中絶跡が分かるのは嫌……」という気持ちは、皆さんが抱く思いです。ここでは、医師、彼氏(パートナー)、親=家族の順に見ていきます。

中絶経験は医師に分かる?

中絶したことが医師に分かるのも避けたい事柄です。「お医者さんにはバレてしまいそう……」と不安に思う方は、きっと多いでしょう。しかし、医師であっても中絶した経験が分かることはまずありません。子宮内膜がきちんと回復してしまえば、医師ですら中絶跡が分かる可能性は低いといえます。

そもそも中絶手術は、お腹を切って治療をする開腹手術ではないため、手術の痕跡は残らないのです。

中絶経験は彼(パートナー)にバレる?

中絶経験が彼氏(パートナー)に分かってしまうのは、絶対に避けたいと誰もが思うことです。医師にも分からないのであれば、彼にも分からないと思うのですが、女性のいつもと違う言動に違和感を覚える男性は少なくありません。まして恋人同士であれば、いつもと違う仕草や表情に違和感を覚えるのは当然です。

中絶が彼に分かってしまう原因として挙げられるのは、女性の何気ない言動であることが多くなっています。ふとした瞬間の何気ない言葉や表情の変化に彼が気づき、その理由を問い詰められ、答えてしまうことが多いようです。

中絶後の心身はとても不安定になっているため、自分でも知らないうちに悲しげな気配を見せたり、涙ぐんだりすることがあるかもしれません。つまり、彼氏にバレる原因は、身体に残る痕跡ではなく、心の傷跡からが多いのです。

中絶は保険証で親にバレる?

中絶は保険証で親にバレる?

中絶手術をしたことは、例え親であっても言いたくない、バレたくないと思う方が大多数を占めます。未成年なら中絶同意書にサインを書いてもらう際に、説明しなければなりませんが、成人している方であれば、親の同意は必要ありません

そうなると不安なのが、健康保険証の受診歴から中絶経験が分かってしまうのかということです。しかし、中絶手術は基本的に保険が適用されない自由診療になります。自由診療は保険の受診歴に記録が残らないのです。そのため、保険証から家族に中絶経験がバレることはないといえます。

ただし、身元を証明するためや、処置中に万が一の事が起こったときのため、中絶手術の際に保険証の提示を求められることがあります。そのときは、医療機関の指示に従うようにしてください。

中絶後は心のケアを!

中絶手術後は、身体の負担はもっともですが、精神的に大きなダメージを負っています。中絶後、メンタル面でなにか不安な症状があったら、すぐに婦人科や心療内科などに相談しましょう。心のいち早い回復が身体の復調にも影響するからです。

中絶手術を検討している方へ

中絶を検討中の方は、なるべく早い段階で婦人科を受診し、妊娠週数の確認を行ってください。妊娠中絶には、手術を行える期間が法律で定められているため、妊娠週数の把握が非常に重要です。中絶手術に踏み切れない方や迷っている方も、まずは妊娠週数の確認をして、医師に相談するようにしてください。エマ婦人科クリニック名古屋栄でも妊娠週数の確認ができます。

また、中絶手術についてくわしく知りたい方には、以下のページで中絶手術の概要をきちんと解説しているので、併せてご参照ください。

QandA

中絶後遺症のよくあるご質問

Q 中絶後遺症は、ずっと残りますか?

A. 中絶後遺症(PAS)はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種と考えられている症状です。適切なケアを行えば、PTSDは3カ月程度で自然回復が期待できるとされています。しかし、中には1年以上症状が続くケースや、症状が慢性化してしまうケースもあります。気になる症状がある場合は、必ず婦人科や心療内科などの医療機関を受診しましょう。早期治療が早期回復につながります。

Q 一度中絶すると、不妊症になりますか?

A. 中絶手術を経験した後、不妊症になるリスクはゼロではありませんが、中絶が原因の不妊が起こる可能性は極めて低いと言われています。中絶後、子宮内膜がきちんと回復し、排卵が起これば、妊娠が可能な状態になります。

Q 中絶後すぐに妊娠することはありますか?

A. 子宮内の環境が整った状態で排卵が起こり性交渉をすると、中絶後すぐでも妊娠する可能性があります。続けて妊娠しないためにも、中絶後は正しい避妊方法を実践してください。

Q 中絶経験が他人にバレることはありますか?

A. 中絶経験が他の人に分かってしまうことは、まずありません。中絶は基本的に自由診療のため、健康保険の受診歴からご家族に分かることもありません。ご本人が口外しない限り、秘密は守られますので、ご安心ください。

INFORMATION

2024/11/12
11/29(金)・30(土)・12/24(火)は臨時休診となります。
12/8(日)・15日(日)は代診の男性医師の診察となります。
2023/01/05
名古屋市の「子宮頸がん検診推進事業」対象医療機関になりました。